コンセプト — なぜ「検索」ではなく「探索」なのか

検索は、探すものが決まっている人の道具

動画配信サイトで作品を探すとき、多くの人がまず検索ボックスに向かいます。しかし検索が機能するのは探しているものを言葉にできるときだけです。

「あの女優が出ている別の作品」「この作品と雰囲気が近いもの」「前に観たシリーズの続き」—— こうした欲求は頭の中にはあっても、キーワードにはなりません。結果として、ランキングや新着といった万人向けの一覧を眺めることになり、自分の好みからは遠い場所を回遊し続けることになります。

TraceDiveはこの状況を、検索の精度を上げるのではなく検索を経由しない導線を作ることで解こうとしています。

起点は「好きな一本」

誰でも、好きな作品の一本や二本は思い出せます。TraceDiveはそれを出発点にします。

画面の中心に置いた作品のまわりに、関係のある作品が放射状に並びます。強い関係の作品は内側に、弱い関係の作品は外側に配置されるので、近いものから順に目に入ります。気になる作品が見つかれば、それを新しい中心にして同じことを繰り返す。この「辿る」動作の連鎖が、TraceDiveでの探索の基本単位です。

言葉にできない好みでも、辿った軌跡としては残ります。何を選び、どこへ潜ったかがそのまま自分の好みの形になっていく、という設計です。

3つの設計方針

  1. 1. つながりには必ず理由を表示する

    「関連作品」とだけ書かれたリストは、なぜ関連なのかが分からないため信用できません。TraceDiveは線ごとに関係の種類を色とバッジで示し、クリックすれば「共通の出演女優は誰か」「共通ジャンルは何か」まで確認できます。理由が見えることが、次の一手を選べることに直結します。

  2. 2. 視点はユーザーの操作だけで動かす

    作品をクリックしたら勝手に画面が動く、という挙動は探索の邪魔になります。TraceDiveではクリックは詳細表示のみで、視点が動くのはドラッグ・ホイール・ダブルクリックといった明示的な操作に限られます。今どこを見ているかの感覚を失わせないための原則です。

  3. 3. 珍しいつながりを高く評価する

    ほとんどの作品が持っているジャンルで結ばれても発見にはなりません。TraceDiveは出現頻度が低いジャンルほどスコアを高くする重み付け(IDF)を採用し、「言われてみれば確かに近い」という発見が起きやすい線を優先して描きます。

「どこまでも潜れる」ということ

関係グラフは、全体を一度に描くと必ず潰れます。数千件の作品を一枚の絵にすれば、線が画面を埋め尽くして何も読み取れません。

TraceDiveは全体像を見せることを最初から諦めています。代わりに、今見ている場所のまわりだけを詳しく描き、近づいた分だけ先を生やすという方式を採りました。気になる枝へズームインすると、その先の関連作品やまだ表示されていない女優・シリーズ・メーカーが新しい枝として現れます。遠ざかった枝は骨格だけを残して畳まれ、戻れば再び開きます。

別の経路から既に表示済みの作品に到達すると、そこで線がつながります。潜るほどに、自分が通った範囲のネットワークが少しずつ編み上がっていきます。

作らないもの

ランキングや売上順の一覧 — 既に各配信サイトにあり、TraceDiveが重ねて提供する意味がありません。

作品の再生・配信 — TraceDiveは作品を配信しません。視聴は各配信サイト上で行われます。

レビューや点数付け — 他人の評価ではなく、自分が辿った経路で選べるようにすることを目的としています。

実際の操作方法は使い方ガイド、線やバッジの意味はつながりの読み方をご覧ください。